シュタインズ・ゲート

アニメ「STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)」




あらすじ(ネタバレなし)

秋葉原を拠点とする、総勢3名の発明サークル「未来ガジェット研究所」。そこの発明品のひとつ「電話レンジ(仮)」に、メールを過去へと送ることができる機能があることを発見する。「実験」という名の下に、過去へとメールを送るのだが、それによって小さな過去改変が起こる。
過去改変が起こると、人々は改変が起こる前の記憶を失うのだが、なぜか未来ガジェット研究所のリーダーである岡部倫太郎(おかべりんたろう)だけは覚えていた。些細な過去改変を重ねるうちに未来は大きく変わり始め、岡部たちは大きな陰謀の渦に巻き込まれていく。改変前の記憶を持ち続けるという力を使って、岡部は運命に抗っていく。

感想(ネタバレなし)

前に一度見た作品なのですが、最後がどうなるのか全く覚えていなかったので、再放送されていたのを見ました。そうです、23話で見事に裏切られた人たちの中のひとりです。

まず、SFガチ勢からしたら卒倒してしまいそうな設定の粗さです。それはもうツッコミどころ満載すぎてどうしようもありません。タイムトラベルものなので、いろいろと無理があるのかと思います。
ですが、そんな設定のことは良いのです。盛大に棚上げしましょう!なぜなら、ストーリーが凄いのです!

第1話で、メインヒロインとなる牧瀬紅莉栖(まきせくりす)死んじゃうし。死んだと思ったら生きてるし。突然ビルの屋上に人工衛星みたいのが刺さってるし。
何を言っているか分からないと思いますが、私も第1話を見た時は訳が分かりませんでした。その上、それ以降しばらくは、メールを過去に送るという非日常はあるのですが、割りとのんびりとした日常パートへと移行してしまうのです。
「おいおいおい!最初のやつなんだったの!!」って思いながら、日常パートを眺めていくのです。

物語の前半はちょっとのんびりすぎるんじゃないかと思っていたのですが、なんせ第1話の謎が強烈だったので、それほど退屈せずに見られました。そして物語の後半、のんびりとばら撒かれていった伏線を怒涛のごとく回収し、胸が苦しくなるような展開が待ち受けています。後半は一話一話心して見ていかなければ、緊迫感と切なさに心を持って行かれそうになります。

これはSFストーリーですが、物語の主軸は人と人との繋がりにあります。だからこそ心に響く作品になっています。「過去に送るメール」を使って、キャラクターたちの想いを綴っていく物語です。

感想(ネタバレあり)

ここから先は、物語の核心に触れる記述があります。まだこのアニメを見ていない方はご注意ください。


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ここでは設定についてのツッコミはしません。「電話と電子レンジ合体したら過去にメールが送れた」なんて、設定とも言えないような設定も、過去改変による世界線の移動も、まあ科学的な検証は必要ないでしょう。シュタゲの本質はそこには無いのですから。

前半がちょっと日常パートすぎるのがアレなんですが、後半、椎名まゆりが撃たれてからの物語の加速のしようは、それはもう劇的でした。前半で何気なくしていた過去改変が、すべて伏線になっていて、それをゴリゴリと回収していくストーリー展開は急転直下でしたし、そのひとつひとつの伏線に、キャラクターたちの強い想いが秘められていたことが分かったりして、涙がちょちょ切れんばかりでした。

伏線の回線順序は、張られた順序とは逆になっています。従って、最初に回収した伏線は、未来から来た未来人・阿万音鈴羽(あまねすずは)についてです。
岡部が鈴羽を引き止めたことで、タイムマシンが故障して過去へと飛べなくなってしまった鈴羽を、過去へと飛べるようにします。父に会いたい鈴羽。やらなければならないことがある鈴羽。そして父親はダル!衝撃のダル!親子の温かいストーリーになると思いきや、最後に「失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した」でした。あのシーン辛かった。みんなの想いを背負って過去へと行ったのに。帰れないと分かっていながら、覚悟をして過去へと行ったのに。「私の人生は無意味だった。」のところはもう胸が苦しくて苦しくて。

フェイリスの話は少しツッコんでおきましょう。これはちょっと強引だった気がします。
フェイリスは秋葉原に萌えを取り込んだ張本人だったわけですが、死んでしまった父親を取り戻すために過去へとメールを送ります。父親は死ななかったことになり、秋葉原は電気街のままになりました。
まゆりが死なないようにするために、岡部はフェイリスが送った過去へのメールを、なかったことにしてほしいとフェイリスに頼みます。これは、父親が死んだ世界線に戻してほしいと頼んでいることになります。
フェイリスがここで岡部の願いをすんなりと受け入れたのは、ちょっと無理があった感じがしました。

フェイリスはまゆりと父親を天秤にかけたことになります。これは、ちょっと悩んで答えを出せるものではないはずです。もう少し丁寧にやってほしかったです。
とはいえ、このフェイリスのストーリーも胸が苦しかったです。人の命を天秤にかけた、辛い判断を下さなければならなかったフェイリスを思うと辛いです。

そしてルカ子。だが男だ!
どう見ても女の子な男、つまり男の娘の漆原るかは、過去へメールを送り、女の子になる。しかしこちらもまゆりを助けるため、岡部はルカ子に、男の子に(男の娘に)戻ってもらうことをお願いする。しかし、ルカ子は岡部のことが好きだったのだ!男の子に戻れば、この恋心は簡単には打ち明けられなくなる。男の子に(男の娘に)戻れということは、恋心をあきらめろと言われているのに(ほぼ)等しいのです。しかもそれを好きな男にお願いされるのです。これは辛いでしょう。
それとは関係ありませんが、デートしてる時のルカ子かわいかったです!そして女だ!
男の子に(男の娘に)戻ってしまっても、その恋心をあきらめないでいただきたいものです。だが男だ。

続いては、桐生萌郁(きりゅうもえか)です。携帯依存症で、しかも人に依存したうえに、まゆしーを撃ち殺すというトンデモ女にほとんど同情はしませんでしたが、むしろミスター・ブラウンが哀愁ありすぎて辛かったです。酷い子供時代を送り、過去へと飛んだ阿万音鈴羽に世話になり、娘の綯(なえ)という守るものができ、そして手を汚していく。その手を汚す行為が、恩人である鈴羽を貶める行為だとも知らずに。もう引き返せないこと知っているミスター・ブラウンは、萌郁を殺し、自身も自殺する。そして家では綯がひとり、父親の帰りを待っている。

なえちゃんかわいいよ!なえちゃんかわいいよ!って、思ってたから、最後のシーンは死ぬほど辛かった。ああ、なえちゃん・・・。

そして満を持して第1話の、牧瀬紅莉栖が死んでいたという伏線に立ち戻ってくるのです。まゆりを助けるために過去へ送ったメールを取り消すということは、つまり、牧瀬紅莉栖が死んだ世界線に戻るということを意味します。そしてここからは、悲しくも羨ましいデレデレラブストーリーです。デレくりすたそかわいい。
自分の死が分かってもなお、「まゆりを助けて」と言う紅莉栖。そして残り少ない最後の時をもって、岡部と紅莉栖は想いを伝え合う。メールを取り消し、紅莉栖は消え、まゆりは死なないことになる。

ここで終われば、紅莉栖の自己犠牲によって、岡部とまゆりは新たな未来を作るという、「美しさ」をゴリ押しにした三文ストーリーなのですが、ここでは終わりませんでしたね。素晴らしい。
再び未来から来た鈴羽の力を借りて、紅莉栖も死なない、まゆりも死なない世界線を目指しました。
岡部は、過去の岡部を騙すという作戦をたてます。過去の自分に、「紅莉栖は死んだ。」と思わせる作戦です。紅莉栖を気絶させ、血糊を使って死んだように見せかけるという、非常にしょっぱい作戦でしたが。まあ、実際には血糊は固まってしまっていて使えず、自らが刺されて血の海を作るという力技に出るのですが。この力技のおかげで、岡部の想いがどれほど強いものだったかというのが伝わってきました。どれほどまでに紅莉栖を助けたかったのかが伝わってきました。

全ての作戦を成功させ、岡部は元の時間へと帰ります。その道すがら、鈴羽とお別れすることになります。7年後に、ダルの娘として再び会うことを約束して。

私は鈴羽というキャラクターが一番好きです。いくつもの時間に登場し、いろんなキャラクターたちの人生に大きな影響を及ぼし、そして、未来の人間として再開することを約束して別れていく。その別れは辛いものではあるけれども、これからを感じさせる希望をもはらんでいます。この爽やかさがとても好きです。

話は変わりますが、最後、紅莉栖を助けはしたが、その世界線では岡部と紅莉栖は出会うことはなくて、「その恋はあきらめなければならないけれど、君がどこかで生きていることに幸せを感じる」みたいな感じで終わりそうになった時は「おいおいおいおいお!!!」って焦りました。映画「バタフライ・エフェクト」かよ!って思いました。あの、適当なストーリー展開の過去改変系映画のバタフライ・エフェクトですよ!そんな無理矢理淡い気持ちを持たせるような、陳腐な演出いらないよ!って思いましたが、良かったです、ちゃんとふたりは出会いましたね。紅莉栖は、父親に刺されそうになった所を助けてくれた岡部を、「お礼を言いたい」ということで探していました。律儀で真面目な紅莉栖らしいです。うん、良かった。本当に良かった。ああ!本当に良かったな!!

最後に、再放送の第23話について。こりゃあれだな。ゲームの宣伝としては最高の演出だったな!
紅莉栖を助けるために過去へ行き、自ら紅莉栖を殺してしまった岡部が、そこで諦めて紅莉栖を諦めてしまい、紅莉栖のいない日常を送っていく。
誰もが「え??え??何事???」って思ったと思います。はい、私も思いました。完全に油断していました。私はゲームは買いませんが(ゲームはあまりやりません)、「これは買いたくなるなー」と思いました。できれば、是非そちらもアニメ化してください。アニメ化したら絶対に見ますので!

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ぺんぎん

ぺんぎん の紹介

物語をこよなく愛する一般人。 物語ならば、映画、小説、アニメ、ゲーム、マンガなどなど、形態は問いません。ジャンルや作者に縛られない濫読派。
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