あらすじ(ネタバレなし)
羽田空港に、一辺2キロメートルの立方体が突如出現する。戦車による攻撃にも傷一つつかないその物体の中に、旅客機が1機飲み込まれてしまう。乗客の中には、外務省の交渉官・真道幸路朗(しんどうこうじろう)も乗り合わせていた。
その立方体の中から、ヤハクィザシュニナと名乗る人物と、真道が現れる。ヤハクィザシュニナは、「自分はこの宇宙の外側からやって来た。」と語り、日本政府との交渉を要求する。その交渉の中で、ヤハクィザシュニナは未知のテクノロジーを人類に与えていくことになるのだが・・・。
感想(ネタバレなし)
先の全く読めない、驚きのストーリー展開。
なんせ、ヤハクィザシュニナが未知の存在であり、未知のテクノロジーを与えていくのだから、ストーリー展開の予測なんて全く無理です。
視聴者は、「次はどうなるのだろう。」と、ハラハラしながら見ることになります。
未知のテクノロジーに対して、人類はどのような反応をするか。この部分に関しては、かなりリアルに描けていたと思います。
諸外国の動きや、先進国の動きなどを見て、「あー、確かにそういうリアクションになるよなー。」と、納得しながら見ることができました。
ストーリーは予測不能だが、予測可能な範囲に関しては納得しながら見ることができる。そんなアニメでした。
フルCGアニメということで、映像の質感は「シドニアの騎士」や「亜人」のような感じです。
キャラクターの動きはかなり自然にはなってきていますが、まだ不自然さを感じます。
この辺りが気になる人にとっては、ちょっと厳しい意見が出るかもしれません。
私はストーリー重視派ですので、その辺りはあまり気になりませんでした。
ストーリー序盤の感じからして、「交渉」がテーマになるのかなと思ったのですが、そうでもありませんでした。
確かに「交渉」はテーマになっていますが、どちらかと言うと「未知との遭遇」がテーマになっているように感じました。
この未知との遭遇が、この世界にとって良いものとなるのか。相手にとってどういったものになるのか。
その行く末をドキドキしながら見ることができるアニメだったと思います。
感想(ネタバレあり)
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ストーリーが進むにつれて衝撃の事実が明らかになっていきます。
ヤハクィザシュニナは「異方」と呼ばれる「宇宙の外側」から来た存在でした。羽田空港に現れた立方体は「カド」と呼ばれ、この宇宙と異方を結ぶ役割を果たしていました。
そしてこの宇宙は、異方の存在が作り出したものでした。
異方存在たちは、高次元の世界に住む存在でした。高次元の世界には大量の情報が溢れていて、彼らは常により多くの情報を求めていました。
そういった「情報」を作り出す繭として、異方存在はいくつかの宇宙を作ります。物理法則の違う宇宙をいくつも作りました。
その中に、我々人類の住む宇宙があったのです。
我々の宇宙は特別でした。「人類」という「情報の特異点」が誕生したからです。
人類には「単なる情報」以上の「計り知れない情報」が含まれています。それは、正に異方存在が欲していたものでした。
ヤハクィザシュニナの目的は、この情報の特異点である人類を、異方へと連れて行くことでした。
そのために、「ワム」「サンサ」「ナノミスハイン」という、3つの未知のテクノロジーを人類に与えました。
ワムは、異方から電力を無限に取り出す装置です。
始め、このワムが日本政府に与えられた時、各国は即座に反応をしました。
こんな装置が一国の手にあっては危険であり、軍事的なバランスが大きく崩れてしまう。そんな大義名分のもと、ワムを国連に提出するよう日本政府に迫ります。
本当の理由は、「核兵器」と同じです。拒否権を持つ列強先進国が「不利」な状況になるのを見過ごすはずがありません。
「ワムは世界に委ねる」という名目で、「先進国が独占する」ことを人類は選択しました。
日本政府は、この国連決議を受け入れますが、それと同時に「ワムの作り方」を公表します。
これは列強に対する裏切りです。先進国が独占するどころか、誰でも無限のエネルギーを作り出せるようになってしまうのですから。それは先進国様たちはプンスカプンスカですよ。
各国の反応はリアルでしたが、日本の対応だけはリアルじゃなかったですね。
「ワムは人類に委ねられるべきである。」とうい首相の意志は素晴らしいですし、日本政府のやり方が間違っていたとは思いません。むしろ、私もそうあるべきだと思いました。
ただ、現在の「日本」とういう国に、これをやらかす度胸はないでしょう。
全体的に、日本の首相・犬束構造(いぬづかこうぞう)があまりにも人格者すぎますし、日本という国が良い国すぎます。
日本のアニメということで、「日本」という国を贔屓目に見たのでしょうが、ちょっと贔屓しすぎな気がします。
それにしても、ワムの作り方を全世界配信するときの品輪彼方(しなわかなた)博士がかわいかったです。
このシーンじゃなくても品輪博士はかわいかったです。最近めっきりちゃんとした人間の役をやらなくなった釘宮理恵(くぎみやりえ)(品輪博士を担当した声優さん)でしたので、なんだか「今回は人間だ!」っていう感慨がありました。くぎゅう!!
話は脱線ばっかりですが、「サンサ」と「ナノミスハイン」についても書いておかなければなりません。
「サンサ」とは、この3次元の世界だけではなく、多次元の自分を認識し、その多次元の自分と役割を分担できる装置です。具体的な例としては、他の次元の自分に睡眠を担当させることによって、この次元の自分は睡眠が必要なくなるというものがあります。
そして「ナノミスハイン」とは、宇宙の物理法則に手を加えられるというものです。重力や時間を制御することができます。
ヤハクィザシュニナは、この3つのテクノロジーを与えることで、人類に段階的に異方の感覚を与えようとしました。
人間を異方に連れて行く際、異方の感覚が分かっていた方が成功率が上がるからというのが理由です。
さて、これで人類を異方に連れていけたのならば、異方存在の目的が果たされます。つまり、この宇宙はもう用済みです。
つまるところ、ヤハクィザシュニナはこの宇宙を終わらせる者でもあったのです。超展開です。
「いろいろくれる良い奴」から、「宇宙を滅ぼすラスボス」に早変わりです。良い話には裏があるってやつですね。
正解するカドは、こういったどんでん返しが当然のようにありましたし、本当に予測不能なストーリーでした。ここが非常に良かったです。
そしてどんでん返しといえば、我らが徭沙羅花(つかいさらか)さんです!!
日本政府側の交渉感を担当していた沙羅花さんでしたが、実は異方存在にして、この宇宙の管理者でした。
この辺りから物語の設定がちょっと怪しくなる。
高次元に住む異方存在の沙羅花さんは、多くの情報を失うことと引き換えに、3次元という低次元の世界に住むようになります。理由は、この宇宙を愛していたからです。
このあたりの設定がちょっとわからないのですが、いろいろな生物に宿り、地球生命の長い歴史の中を生きてきたようです。
そして、沙羅花という人間として誕生したのが一番最近ということでしょうか。
真道と沙羅花さんの間に子供がいると知った時、ヤハクィザシュニナは驚きました。人間という情報特異点と異方存在との間にできた子供。
でも、これってわりと当然な流れだし、っていうか人間に生まれる以前に生殖行為ってなかったのかなって思いました。
「宇宙の管理者がまさか低次元生物と生殖行為なんてするわけないじゃん!」っていう認識だったのかなぁ。このあたりよくかっていません。
ついでにいうと、最終話の流れが全然わかっていません。
「相対時間を操作して、周りだけ16年速く時間が進んでいた」という流れは百歩譲るとして、なんで人間と異方存在の間にできた子供がそんなに超サイヤ人みたいな強さを持っているのですか?
そもそも高次元空間の存在であるヤハクィザシュニナの方が強いんじゃないんのですか?
というより、「交渉」がテーマだったはずなのに、最後はバトルで終わらせてしまうっていうのはちょっとダメな気がします。
真道さん死んじゃうし。
それともアレですかね。交渉は大事だが、そもそも武力がなければ交渉の場には立てないっていうことが言いたかったのでしょうか。
最後の展開がちょっと無理くり過ぎます。ここまでの展開が面白かっただけに、最後はちょっと残念な終わり方になってしまいました。
品輪博士、沙羅花さん、そして沙羅花さんの娘のユキカちゃんという三大ヒロインが登場したからギリギリOKということにしておきます。
でもやっぱりラストは大事ですね。それが製作者の考える「答え」であるわけですし、「正解」であるわけですから。
結局、「正解」とは一体何だったのか。