ID-0

アニメ「ID-0」




あらすじ(ネタバレなし)

「オリハルト」と呼ばれる新たな鉱石を使って、宇宙空間をワープする。そんな技術を持った人類は、地球のみならず、宇宙へと活動範囲を広げていた。そして、オリハルトを宇宙空間で安全に掘削するために、人類はIマシンというロボットを開発。本物の体は宇宙船に置いたまま、意識だけをIマシンに載せて掘削作業をすることがスタンダートになっていた。

そんな折、惑星連盟アカデミーの学生であるミクリ・マヤは、Iマシンでの作業中に事故にあってしまい、教授たちに置き去りにされたうえに、教授たちの陰謀によって犯罪者に仕立て上げられてしまう。マヤは、訳ありな社員ばかりの会社・エスカベイト社の「ストゥルティー号」に拾われ、社員として働くことになる。

感想(ネタバレなし)

自己とは何かを問う作品。

哲学的なテーマですが、全体的にはエンターテインメント性の高いアニメです。

もし、Iマシーンに意識を移したまま、自分の意識を、自分の体に戻せなくなってしまったのなら、それは「自分」と呼べるでしょか。
「アイデンティティー」を問う作品はこれまでにもたくさんありましたので、それほど新しいテーマというわけではありません。
ですが、技術の進歩によって、「意識」と「体」を切り離して考えることがただのSFではなくなってきた現代において、しっかりと考えなくてはいけないテーマではないでしょうか。

などと、難しいことから書き始めていますが、物語の大半はエンターテインメントです。
アクションあり、アクションあり、そしてアクションあり。ストーリー重視派の私にとっては、ちょっとアクションがクドかったです。映画「マトリックス」を彷彿とさせました。

物語の大半をアクションに費やして、「自己のアイデンティティー」というメインテーマに関しては、終盤に詰め込んできます。
詰め込みすぎてついていけませんでした。そういう意味では、ストーリーのバランスはあまり良くなかったと思います。

「アクションが良い」と思って見ていた人には、「終盤難しすぎてよくわからない」となるし、「テーマが良い」と思って見ていた人には「アクションシーンが長い」となるでしょう。

ちなみに、本編終了後にブルーレイのCMが流れます。キャラクターたちが参加するクイズコーナーという形式なのですが、私はこれが大好きでした。
オチも読めるし、中身なんて何もないのですが、なんだか毎回笑わせてもらいました。
アニメ「クロスアンジュ」は、次回予告が最高に面白かったと思います。このような、本編とは関係ない小ネタで「良い」と思わせる作品は、結構好きだったりします。

感想(ネタバレあり)

ここから先は、物語の核心に触れる記述があります。まだこのアニメを見ていない方はご注意ください。


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結局、終盤のストーリーが入り組みすぎて、よくわからなくなってしまいました。

自分の過去も、自分のIDもなかったイドの正体はケイン・アリスガワでした。
ケイン・アリスガワは天才的な科学者で、Iマシンの開発者です。

ケインは、共同開発者のアダムス・フォルテ・シュヴァリエによって強制的に意識をIマシンに移されてしまいます。
まだ未完成のシステムを使ったため、記憶もIDもないままIマシンに意識を移されてしまいます。

ケインは記憶が無いまま、ずっと宇宙の片隅を漂うことになりますが、そこから別の機体に意識を移すことによってその場から脱出し、エスカベイト社で働くことになります。
この別機体を、事故に備えてケイン自ら用意していたというのですから、ケインはそれはもう天才だったのでしょう。(ちょっと無理があると思う)

さて、このイドが「ID-0」のテーマとなるキャラクターです。
体を失い、自分はIマシンとして生活していますし、過去の記憶もありません。
そして、自分が元々はケインだったということを知るのです。

さて、彼はイドでしょうか。

一方、アダムスの方は、自分の意識をケインのクローンに移して、ケインとして生活していました。
さて、彼はアダムスでしょうか。

アニメの中では、肉体よりも意識こそが「自己」であるという見解に見えました。
最後には、せっかく取り戻した自分の体を捨てて機械の体に戻ったイドが「オレはイドだ。」と断言していることからも、そう読み取れます。

この「アイデンティティー」がメインテーマになっています。
ですが、ここまでが本当に長かった。

序盤から、物語のテーマが「アイデンティティー」であることは分かっていました。そういった雰囲気をプンプンさせていましたから。
ですが、アクションに次ぐアクションで、終盤にやっと物語が動き出します。ここまでが長い。
そして終盤は詰め込みすぎ。結局何だったのかわからない。

どうやら、宇宙には未知の文明があるようです。その未知の文明は、オリハルトを回収する装置「移動天体ラジーブ」を開発していたようです。
マヤたちは、巨大オリハルトの中で発見した少女・アリスを捕まえようとしていると思っていましたが、実際にはオリハルト回収装置だったようです。

人類は、全てのオリハルトを放棄して暮らすか、ラジーブを撃退するかの選択を迫られることになります。
それにしてもこのラジーブ、なんで今までは発見されなかったのだろう。

ラジーブが活発に活動するようになったきっかけは「アリス」にあるようですが、それまでも人類はオリハルトを日常的に使っていたようです。
その状態でラジーブが回収に来なかったのはなんででしょう。
なんだか突然人類を襲うようになって、突然に人類に選択を迫ったような見えました。

アダムスの指揮のもと、人類はラジーブと戦う道を選びます。
ラジーブにオリハルトの入った弾頭をぶつけ、強制的にブラックホールの近くに転送させるという作戦です。
いろいろと無理があります。科学的検証が必要です。

作戦は順調に進みますが、大きな問題が発生します。
ラジーブは、単にプログラミングをされたものではなく、状況に応じて学習する装置だったのです。
学習し、対処をされてしまい、形勢は一気に逆転。人類は危機に陥ります。

ここでイドが採った作戦がまた無謀も無謀。
自分の意識をラジーブのコアに転送させ、人類の「繋がり」や「愛」を学習させようというクソみたいな作戦。
北風と太陽に例えるならば、北風作戦がアダムスで、太陽作戦がイドみたいな感じでしょうか。

このクソ作戦に連盟軍は賛同し協力をします。うん、無理がある。
撤退用のオリハルトも全て使って、この作戦を遂行し、成功させます。
人類の愛を知ったラジーブは、地球圏から去っていきましたとさ。めでたしめでたし。

テーマが興味深かっただけに、この結論ありきのご都合主義ハッピーエンドは残念でした。
良質なテーマに、陳腐なストーリー展開というイメージです。
アクションやCGに関しては、私の管轄ではないのでわかりません。たぶん凄かったです。(雑)
もう少しストーリーに愛を注いでほしかったです。ラジーブにばっかり注がずに。

全然関係ないですが、クレアちゃんかわいかったです。
アイデンティティーっていう重めのテーマも、CGも、ストーリーも、アクションももういいや。
クレアちゃんかわいい!!クレアちゃんかわいい!!

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ぺんぎん

ぺんぎん の紹介

物語をこよなく愛する一般人。 物語ならば、映画、小説、アニメ、ゲーム、マンガなどなど、形態は問いません。ジャンルや作者に縛られない濫読派。
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