甘城ブリリアントパーク

アニメ「甘城ブリリアントパーク」




あらすじ(ネタバレなし)

あと3ヶ月で25万人のお客さんを呼べなければ、遊園地「甘城ブリリアントパーク」は閉園する。そんな状況の中、強引に支配人代行を任されることになった男子高校生・可児江西也(かにえせいや)。しかし、事は一遊園地の存続だけに留まらず、ひとつの魔法の国の存亡がかかっていた。あらゆる手を使い、閑散とした閉園目前の遊園地を立て直していく。

感想(ネタバレなし)

開始1秒から視聴者を惹きつける、優良エンターテイメント作品。

第1話からグイグイ惹きつけてくるアニメでした。
物語は、美少女に銃を突きつけられ、「次の日曜日、私と遊園地に行かない?」と問われるシーンから始まります。「急にそんなことを言われても・・・。」と返答を渋る高校生の西也に対して、この美少女・千斗いすず(せんといすず)は躊躇なく威嚇射撃をし、返答を迫ります。
千斗いすず

私はこの冒頭で、あっという間に惹きつけられてしまいました。その後第1話は、甘城ブリリアントパークというテーマパークがどれだけ廃れているかをコミカルかつスピード感のある展開で見せていきます。会話に抑揚のないいすずが、夢あふれる遊園地のアトラクション説明をしてくれるのですが、その夢も希望もないようなトーンの説明がかなり笑えます。笑いを交えながら、短時間でキャラクターの紹介や遊園地の状況を説明し、視聴者たちをあっという間に物語の中へと連れて行きます。

はじめの設定は「3ヶ月で25万人のお客さんを集める」というもので、物語の主軸はそれを基本にして進んできます。ですが、物語が進むに従って新たにいろいろなことがわかってきて、いろいろな問題が出てきて、それらが物語にどんどん彩りを添えていきます。中盤にやや中だるみ感がありますが、全体的にテンポが良くて、最後まで楽しめました。

序盤に主人公の西也に暗い過去があることが語られますが、物語の中ではその点はほとんど掘り下げられません。もう少し一人ひとりのキャラクターを掘り下げてみても良かったかもしれません。中盤の中だるみの時間をそっちに割いていたなら、もっと面白かったんじゃないかとも思います。

これは全然関係ないのですが、甘城ブリリアントパークの略である「甘ブリ」という言葉を見ると、どうしてもブリの照り焼きを思い浮かべてしまいます。ブリは照り焼きに限る(封印魔法)ばかり頭の中に現れてきます。どうしても遊園地というイメージにならない。むしろ和風。

まあアレです、とにかく第1話を見てみてください。そこで惹きつけられたのならば、きっと最後まで楽しめると思います。

感想(ネタバレあり)

ここから先は、物語の核心に触れる記述があります。まだこのアニメを見ていない方はご注意ください。


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お姫様の記憶が消えなかったのはなぜでしょう?

魔法の国の住人が、自らの存亡のために人々の「楽しい」という気持ちを集める。そのために遊園地を運営している。
この設定は面白かったです。遊園地の経営が立ちゆかなくなれば、魔法の国そのものも滅亡の危機に陥る。だから、いすずは本気で西也をスカウトしました。遊園地の閉園に留まらず、魔法の国の存亡に関わるからこそ物語に緊迫感が生まれます。

遊園地のキャラクターたちは着ぐるみではなく、本物の魔法の国の住人でした。そう!中の人などなどいないのです!

魔法の国の存続のために西也は奔走していくわけなのですが、この魔法の国の王女・ラティファには呪いがかけられていることがわかっていきます。1年を何度も繰り返す呪い。1年が経つと、体の成長も記憶もリセットされてしまう呪い。

みんなの努力が実って甘城ブリリアントパークの存続が決定しますが、みんなで分かち合った喜びも、西也との思い出も、みんな消えてしまう。この1年のラティファとお別れをしなくてはならない涙涙のシーンがあるのですが、その後、「ラティファの記憶が消えなかった。」という、いかにもご都合主義的な結末を迎えることになります。人々の「楽しい」と思う気持ちがたくさん集まったから記憶が消えなかったという、後付けのような理由は付くのですが、少し安直すぎると思います。「さっきの涙を返してほしい。」と思ってしまいました。

「とりあえずハッピーエンド」という結末は、私のもっとも嫌いな結末です。自然な結末ならば、ハッピーじゃなくても良いと思ってます。「自然な結末」が一番大事だと思います。

ですが、そんな大きなマイナス点を考えても、甘城ブリリアントパークは全体的には好きな作品です。25万人達成には本気で感動しました。アニメとしてはドタバタコメディー的な感じでしたが、みんなが気持ちをひとつにして頑張ってきたという描写もあって、しっかりと感動できるラストでした。

ちなみに、この感動のエピソードは全13話中の第12話で、最終回はしょうもない内容になっていました。中だるみの感じもそうですし、最終回のしょうもなさもそうですし、もう少し詰め込めたんじゃないかと思ってしまいます。ですが、たぶんこのたるんだ感じを狙っているのだと思います。ガチガチにせず、程よいエンターテイメントに徹した形だと思います。私としては少し不満ですが、全体としては程良い緩さになって見やすかったとも思います。

私が一番好きだったキャラクターは、ジョーです。サメです。
ジョー
仕事熱心で真面目なのですが、気持ちばっかりが前へ行ってしまっているキャラクターです。気持ちばっかりが前へ行ってしまって、話す言葉も空廻っちゃてる感じが、「あー、こういう人いるいる!!」ってなりました。仕事はイマイチなんだけど、すごく好感が持てる真面目さんという感じでかわいかった(?)です。

女性キャラの中では、エレメンタリオの4人もなかなか良いキャラたちでしたが、やはりいすず一択だと思います。
エレメンタリオ
エレメンタリオの4人は性格がバラバラで、すごく魅力的なデコボコ4人組でした。デコボコだからこそできるチームワーク系のグループで、物語全体に笑いを提供してくれていました。この4人のチームワークに焦点が当てられたエピソードなんかでは、結構感動させられたりもしました。

ですが、やはりいすずタソでしょう。クールで抑揚が少なく、横暴で暴力的。気に入らないことがあるとすぐに銃をぶっ放してくる、恐ろしい美少女です。正直なところ、暴力を振るわれたいです。暴力を振るってください!

不満な点はいくつかあるアニメでしたが、やはり冒頭から惹きつけられてしまう魅力のあるアニメでした。笑いあり、感動あり、テンポの良い展開あり。良質なエンターテイメント作品だったと思います。

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ぺんぎん

ぺんぎん の紹介

物語をこよなく愛する一般人。 物語ならば、映画、小説、アニメ、ゲーム、マンガなどなど、形態は問いません。ジャンルや作者に縛られない濫読派。
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