あらすじ(ネタバレなし)
バイオテクノロジー国際学会に出席するために、妻と共にベルリンを訪れた植物学者・マーティン・ハリス。
しかし彼は交通事故に遭い、昏睡状態に陥る。4日後に目を覚ますが、事故前後の記憶が曖昧に。ホテルにいる妻に会いに行くのだが、彼女はマーティンのことを知らないと言う。さらに、「マーティン・ハリス」を名乗る見知らぬ男まで現れて、マーティンは自分のアイデンティティーに自信を持てなくなる。
感想(ネタバレなし)
トレーラーを見て、「ああ、面白そうだな。」ってすぐに思いました。ストーリー設定が面白く、興味を引きます。
二転三転するストーリー展開に、派手なアクション、テンポの良さなど、エンターテインメント映画に必要な要素が詰まっています。
ガンアクションはあまりありませんでしたが、素手での格闘や、特にカーチェイスは派手でした。
2時間の間、ハラハラドキドキしながらも、安心して楽しむことのできるエンターテインメントでした。
安心して楽しめたということは、3ヶ月後には内容を忘れていそうだという意味でもありますが。
現代社会におけるアイデンティティーとは一体何なのだろうと、真面目なテーマも含まれていました。
「今の社会において、自分が自分であるためには何が必要なのだろうか。」というテーマです。
マッチョで最強のキャラばかり演じるリーアム・ニーソンは、スティーヴン・セガールは目指しているのでしょうか。
関西弁がペラペラなら言うことなしです。
感想(ネタバレあり)
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ストーリーのトリックとしては、かなり楽しめました。主人公すら自分が自分であることに自信を持てない状態で、それを観客にも共有できるようにストーリーが組まれていました。
事故直後の病院や、妻に会いに行ったパーティー会場なんかでは、マーティンは自分が自分であることに自信を持っていて、見ている方も「これは誰かの陰謀で、嵌められたに決っている。」と思うのですが、それを証明するために、何度も電話やメールで議論し合ったドイツの植物学者・レオ・ブレスラー教授のもとでもう一人のマーティンと対峙したとき、マーティンの自信も、見ている方の自信も揺るぎます。
マーティンしか知らないはずのことを、もう一人のマーティンも知っている。マーティンの研究内容を、もう一人のマーティンも知っている。
ふたりのマーティンが、自分が本物であることを証明するためにブレスラー教授に詰め寄るシーンで、ふたりのセリフがハモるシーンなんかは不安を煽る良いシーンだと思いました。
知らない場所で、知らない人たちに囲まれて、自分のことすら知らない状態で彷徨うのは、どんな気持ちなんでしょう。
そして、空港に置き忘れたブリーフケースから写真入りのパスポートが見つかったときは、見ている方もホッと一息ついたものです。
このシーンは一番印象的で、自分が自分であることに、自分は関係ないんだなって思いました。それよりも、社会から見て自分が誰なのかが重要なんだなと。
実はこの映画の中で一番怖いと思ったのはこのシーンでした。
現代社会におけるアイデンティティーとは一体何なのだろうかと考えさせられました。
まあ、実際マーティンはマーティンじゃなかったんですけどね。
ここから物語はさらにひっくり返って、マーティンは実は暗殺集団の一員で、バイオテクノロジー国際学会に出席するアラビアの王子を暗殺するために、植物学者であるマーティンになりすましていたという衝撃の事実が発覚します。つまり、仲間に狙われていたのです。
自分が暗殺集団の仲間であることを忘れ、植物学者のマーティンだと思い込んでしまった。そして錯乱状態のマーティンの行動が、暗殺集団にとっての脅威となった形です。
さらにその後、本当の標的はアラビアの王子ではなく、どこでも育てられるトウモロコシを研究開発したブレスラー教授だったことが発覚し、とにかくストーリーはコロコロと転がっていきます。
このストーリー構成は見事で、見ている方はワクワクできます。
最後は自分を完全に思い出し、アラビアの王子もブレスラー教授も救って、ブレスラー教授は新しいトウモロコシの遺伝子マップを無償公表して、映画も世界もハッピハッピーな陳腐なエンディングです。
まぁ、こういうコテコテのハッピーエンドは好きですけどね!
美人の協力者(金髪)も現れますし、渋いおじいちゃんの協力者も現れますし、気合いの入ったカーアクションも見られますし、エンターテインメント的にはかゆいところに手が届く映画です。
ああ!そうだ!書き忘れるところだった。
ベルリンの街並みが綺麗で魅力的でした。ベルリンに行ってみたくなりました!
全くくだらないアクション・ミステリー映画。
暗殺者が、殺人というミッション遂行のために植物学者になりすましていた・・・。
が、交通事故の衝撃により、暗殺者自身の記憶が喪失し、代わりに、架空の植物学者を演じるために暗記していた「仮想の記憶」が何故か暗殺者の頭脳を占拠する。
で、暗殺者は「仮想の記憶」がリアルだと思い込むという「荒唐無稽ストーリー」なのだ。
しかも、交通事故の衝撃により、暗殺者の人格は仮想植物学者の人格に置き換わり、逆に暗殺を阻止する側に回るという展開に・・・。
暗殺者という悪玉が仮想学者という善玉へと、なぜか人間性まで変容してしまう、実に「ハチャメチャなストーリー」なのだ。