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映画「洋菓子店コアンドル」 深川栄洋




あらすじ(ネタバレなし)

鹿児島のケーキ屋さんの娘・なつめは、パティシエ修行中の彼氏を追って東京で評判の洋菓子店「パティスリー・コアンドル」へやってくる。
しかし、その彼氏はすでにそのお店を辞めており、行き場を失くしたなつめは、コアンドルで働かせてほしいと願い出る。
次第に彼女は仕事に真剣に向き合うようになっていく。

感想(ネタバレなし)

全体的に緩やかで優しい時間が流れる映画でした。登場する主要キャラの過去などを織り交ぜながら、お菓子の作り出す幸せパワーを描いていました。
映画に出てくるケーキはどれも美味しそうで(高そうで)、見るだけでも幸せになれるものばかりでした。
あー、ケーキ食べたい。美味しいケーキを食べたい!お高いけど。幸せも金次第ということか!!

私は実は蒼井優の大ファンです。最初に蒼井優の演技を見たのは「害虫」という映画だったのですが、それ以来彼女の演技に魅了され続けています。
(今調べたら、「害虫」は2002年公開で、蒼井優の映画出演3作目でした。なんと当時16歳!)
今回も多彩な演技を見せてくれていました。(魅せてくれていました。)
福岡県出身だったんですね。九州系の方言良かったです。

ケーキの話と蒼井優の話しかしていませんが、つまりストーリーとしては普通だったということです。面白かったんですが、3ヶ月後には忘れてしまっていそうな普通さです。
ケーキのことだけはずっと覚えていそうです。

感想(ネタバレあり)

ここから先は、物語の核心に触れる記述があります。まだこの映画を見ていない方はご注意ください。


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主人公のなつめが、凄くクセのあるキャラクターでした。良く言えばキャラが立っている。悪く言えば好き嫌いの分かれるキャラクター。
自信過剰で思い込みが激しくて、言いたいことをズバズバ言ってしまう。それが災いして、同僚のマリコとは険悪な仲になるのですが、それが幸いして、元伝説のパティシエ・十村の心を動かしていくことにもなります。

正直この十村の心が動かされていく流れは納得できません。仕事を優先したことが遠因で娘を失くし、妻と別れて、ケーキを作る意味を見出だせなくなった男が、あの程度の流れで復活できるとは思えませんでした。
なつめの常套句「逃げないでください!」にほだされるとは。出身が同じ鹿児島だったからついついなつめのことを気にかけてしまったっていうのも、その辺をフォローする後付の言い訳に聞こえました。

十村を演じる江口洋介は、最初は陰のある男をしっかりとやっていたのですが、ケーキを作るようになってからは普通の男になってしまっていました。

なつめと、同僚のマリコとの関係は結構好きでした。仕事に真剣なマリコと、始めは真面目にお菓子作りに向かい合っていなかったなつめとの最悪の出会いから、反目しながらも一緒に仕事をしていく、ハッピーエンドに終わらない関係が良かったです。
マリコの性格からすると、なつめのことは絶対に認められないだろうなと。「なんだかんだで仕事をしていくうちにお互いを認めるようになりました!チャンチャン!!」みたいな、安いお話にならなくて良かったです。

マリコといえば、マリコの住むアパートの前でなつめと口喧嘩するシーンのなつめが凄く好きです。
「もの凄く腹が立っているのに、その苛立ちをどこへ投げたらいいのかわからなくて地団駄を踏む」という蒼井優の演技が良かったです。本当にパタパタと地団駄踏むの。「あー!腹が立つ!」って言いながら。あの気持ち、凄くわかります。

加賀まりこが演じるお店の常連・芳川さんとのエピソードはよく出来ていました。人を幸せにするスイーツのパワーを見せると共に、心が折れそうになっていたなつめに、仕事(お菓子作り)に真剣に向きあおうと思わせるという、この映画の中でも重要な役どころでした。
病気で寝込んでいて食欲もない芳川さんが、「もう一度あの子のお菓子を食べたら、他のものも何でも食べる。」という台詞は、なつめの心を動かすのに十分な力を持っていたと思います。冥利に尽きるというか、努力が報われたというか、こんなこと言われたらお仕事頑張っちゃいますね。

最後は、十村は別れた妻に会いに行き、それを見届けたなつめは車を降り、ニューヨークへと向かうシーンで終わります。ふたりの、「逃げない。前へ進もう。」という決心が覗える、綺麗なシーンでした。坂道を下ってい見えなくなっていく蒼井優の後ろ姿で終わっていきます。

とにかくケーキが食べたくなる映画でした。ああ!ケーキ食べたい!高級ケーキが食べたい!!
「世の中にはこんな(高そうな)ケーキ屋さんがあるのか。」と、驚きました。
本当にあるんですよね?

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ぺんぎん

ぺんぎん の紹介

物語をこよなく愛する一般人。 物語ならば、映画、小説、アニメ、ゲーム、マンガなどなど、形態は問いません。ジャンルや作者に縛られない濫読派。
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