X-ミッション

映画「X-ミッション」 エリクソン・コア

あらすじ(ネタバレなし)

空を飛ぶ飛行機から現金を強奪し、自分たちも飛び降り、地上に空いた穴へとダイブする。高層ビルでダイヤを奪い、そのままバイクで空へとダイブする。そんなエクストリームな手口で犯罪を繰り返すグループを追って、見習いFBI捜査官のユタは潜入捜査を試みる。自らも過去にエクストリームスポーツを愛したひとりとして、グループのメンバーとの絆も作られていくのだが。

感想(ネタバレなし)

手に汗握るエクストリーム・スポーツの映像を、存分に楽しめる映画でした。

モトクロスやサーフィン、スカイダイビングにスノーボード、サーフィンやロッククライミング、ウイングスーツフライングまで、至る所にエクストリーム・スポーツのクールな映像が散りばめられています。トップアスリートによる生身のスタントを撮影したらしく、どのアクションシーンも迫力満点でした。「え?これ本当にやったの?」っていう驚きのシーンばかりでした。

こういったアクションを前面に押し出した作品にはありがちなのですが、ストーリーはゴミです。まずアクションがあって、ストーリーはオマケみたいな感じです。フリーランニングをテーマにした「YAMAKASI」や、ムエタイをテーマにした「マッハ!!!!!!!!」を見た時も思いましたが、物語だと思って見ると失敗します。アクションを見るつもりで見れば超クールです。
ですが、映画を見終わった後で知ったんですが、この「X-ミッション」は、キアヌ・リーブス主演の「ハートブルー」のリメイクだったんですね!確かに言われてみればって感じです。まあ、ハートブルーはあまりに古すぎて内容をほとんど覚えていないのですが。でも、ハートブルーはそれ程ストーリーがゴミではなかった気がするんです。X-ミッションのストーリーはどうしてこうなってしまったのか・・・。

ストーリー全体としては、最初から最後まで完全に予測可能な王道ストーリーです。そこに、無理やり社会的テーマをねじ込んできてるなって感じです。自然環境に関する啓発や、地球に対して人がすべきことのようなことが無理矢理ねじ込まれています。ねじ込んできたのなら最後までしっかりと訴えてほしいものですが、中途半端に尻切れで終ってしまった感じがします。
ただですね、エクストリーム・スポーツってそもそも大自然を相手にすることが多いのですが、その上に自然環境のテーマも入れてきているので、大自然を写し出したシーンが素晴らしく綺麗でした。冒頭、主人公のユタと友人が、岩肌の稜線をバイクで下りていくシーンがあるのですが、このシーンの大パノラマから雄大でした。このモトクロスで友人を亡くしてしまい、ユタはエクストリーム・スポーツから遠ざかってしまうという、よくあるいかにもな陳腐なエピソードではあるのですが、背景の大自然と、手に汗握るモトクロスアクションは素晴らしかった!
スノーボードのシーンや、ロッククライミングのシーンなんかでも、スクリーンに映し出される大自然には目を奪われました。

ストーリーのダメさに目をつぶれば、映像も綺麗でしたし、本当にエキサイティングな映画でした。

感想(ネタバレあり)

ここから先は、物語の核心に触れる記述があります。まだこの映画を見ていない方はご注意ください。


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まずはストーリーがダメじゃん!っていうツッコミをしてから、そのあとで素晴らしかった点を書いていこうかなと思います。

何よりも分からないのは、犯罪集団の目的です。映画の冒頭では、アメリカの企業から金品を奪い、途上国の貧しい人たちにバラまいていたことから、富の分配を目的にしているのかと思いました。ねずみ小僧的なアレです。ちなみに全然関係ありませんが、ねずみ小僧が貧しい人たちに盗んだ金銭を分け与えていたっていうのは本当のことではないとか・・・。
しかし、犯罪集団のリーダー的存在であったボーディが後に明らかにしたのは、地球への返礼というものでした。

ボーディは昔、オノ・オザキという人物と共に行動をしていました。オノ・オザキは「オザキ8」という8個の試練を提示し、自らそれに挑戦します。そして、1つの試練をクリアする度に「地球への返礼」として、何か地球のためになることをします。彼は3つ目の試練をクリアしたあと、地球への返礼として、クジラを助けるために捕鯨船の進路を遮るも、その捕鯨船に体当たりをくらい船は沈没。オザキは死んでしまいます。

オザキ8をクリアすれば、仏教で言う「悟り」を得ることができるとされていましたが、オザキの狙いはそこではなく、この活動を通して人々を啓発することでした。ボーディはこの遺志を継いだのです。ただ、オザキは「理想」によって人々を動かそうとしましたが、ボーディは「現実」によって人々を動かそうとしました。それが一連の犯罪だと言うのです。だから、「採掘された金を輸送するダンプを襲って金を地球に戻そう」というのは納得ができます。でもダイヤをバラまいたり、お金をバラまいたりするのは違くないか?

しかも犯罪はどんどんエスカレートしていき、平気で人を殺すような犯罪になっていきます。自然とエクストリーム・スポーツを愛する人たちが、そんなに簡単にそっち側へ行ってしまうのだろうか。なんだかもう完全に本来の主旨からズレていってるようにしか感じません。映画中盤くらいまでは、「エクストリーム・スポーツと大自然」のリンクのようなものを感じましたし、オノ・オザキという人物の理想に共感したりもしたのですが、中盤以降はもうメチャクチャです。

スポンサー的な人物の資産が凍結されてからはもうアレです、ダメダメです。
それまではしっかりと頭脳的な作戦で警察を出し抜いてきたのに、銀行強盗やって警察と銃撃戦を繰り広げるとか、ド素人もいいところだろっていうグダグダ加減です。そして多くの仲間を失っていき、最後にはボーディひとりがオザキ8の最後の試練に捨て身で挑むという酷いラストです。死ぬ気満々で超大波にトライするの。

エクストリーム・スポーツは、失敗したら怪我では済まないかもしれないという危険さに、スリルやエキサイティングを感じたりするものですが、始めから死ぬ気で挑むのならば、それはもうスポーツではありませんよ。自殺ですよ。これだけ鍛錬を積んだエクストリーム・スポーツ好きの人間はそんなことしませんよ!それに、死んでしまったらオノ・オザキの遺志も継げないし、ここで死んでも人々を啓発することもできないし、何の意味もない犬死にですよ!全然共感できないよ!!!

よし!一通りストーリーにツッコんだところで、後半は良かった部分を書いていこうと思います。

一番好きだったシーンは、スノーボードのシーンです。
真っ白な山々を写し出した壮大な背景と、ド迫力の滑降シーン。もう崖すぎて、落ちてんるんだか滑ってるんだか分からない!「そりゃ無理だよ!」っていうコースを、雪を散らしながら滑り落ちていく映像は、綺麗な上に迫力がありました。

一番ヒヤヒヤしたシーンは、ロッククライミングのシーンです。なんと、ベネズエラにある世界最大の落差979mの滝・エンジェルフォールを登ってしまいます!このシーンも背景が最高に美しいのですが、ロッククライミングがハラハラしすぎてそれどころではありません。いつの間にか手を握りしめていたらしく、このシーンが終わったあとは手にグッショリ汗をかいていました。言葉通り、手に汗を握ってしまいました。

エンジェルフォールを登り切ったあとに、飛び降りるんですよ。念のためもう一度言いますが、エンジェルフォールを飛び降りるんですよ。滝壺にドボーンって。これさ、絶対死にますよね。絶対死ぬと思うんです。これはね、絶対死ぬと思うんです。(3回言った)
これで死ななかったからさ、映画は俄然嘘っぽくなってしまいました。「主人公はある程度失敗しても死なない。」っていう、必要のない安心感を与えてしまったと思うんです。X-ミッションのアクションシーンはどれもすごく良かったと思うのですが、エンジェルフォールを飛び降りるシーンだけはダメだったと思うんです。

もうひとつ好きだったシーンを書かせてください。ウイングスーツフライングのシーンです!ムササビみたいなウィングスーツを来て、ムササビのように空を滑空するシーンなんですが、地面すれすれを飛んだりして、もうメチャクチャクールなのです!こちらも背景の山々の美しさと相まって、良いシーンでした。
全然関係ないんですが、ウィングスーツのデザインが、どう見てもゆるゆりの七森中の制服に見えてしまって、笑ってしまいました。笑うシーンではなかったのですが。
xmission ムササビゆるゆり

笑ってしまうと言えば、FBI捜査官の偉い人の役を演じていたデルロイ・リンドーという役者さんは、ユアン・マクレガーとキャメロン・ディアスが出ていた「普通じゃない」という映画で、最高におもしろい役(天使の役)をやっていて、それ以来デルロイ・リンドーが出る度に、どんなに真面目な役をやっていても笑ってしまうという呪いにかかってしまっているのです。ということで、X-ミッションでも登場した瞬間に笑てしまいました。すごい真面目な役だったのにごめんなさい!メル・ギブソン主演の「身代金」でもFBI捜査官の役を演じていて、「またFBI捜査官か!」って、意味の分からないところで笑ってしまいました。

最後に共感した話を書いて終わりにします。冒頭でユタがモトクロスをして、友達が死んでしまう件があります。ここでユタは、「これで動画投稿サイトの再生数も伸びてお金持ち。」みたいな発言をするのですが、ボーディは「スポンサーとかお金とかを考えたからダメだった。」みたいなことを言います。エクストリーム・スポーツは、スポーツですからね!「危険」ということばっかりをウリにしてお金を稼ごうなんて思っちゃダメだと思います!自分の実力を見極めてやらなければいけないと思います!

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ぺんぎん

ぺんぎん の紹介

物語をこよなく愛するフリーライター。 物語ならば、映画、小説、アニメ、ゲーム、マンガなどなど、形態は問いません。ジャンルや作者に縛られない乱読派。
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