無彩限のファントム・ワールド

アニメ「無彩限のファントム・ワールド」




あらすじ(ネタバレなし)

爆破テロにより特殊なウイルスが流出。そのウイルスの影響により、人々は「ファントム」と呼ばれる幽霊や妖怪を視認できるようになった。子供たちの中にはファントムに対抗できる特殊能力を持つ者も現れるようになった。そんな能力者のひとりである高校生の一条晴彦(いちじょうはるひこ)は、学園生活を送りながらファントム退治をこなしていた。

感想(ネタバレなし)

ポップでコミカルでテンポの良いストーリー展開に、ときどきちょっと胸に染みるようなホロッとするスパイスがかかっていました。

基本的には一話完結のストーリーです。一つひとつのファントムに関する事件を解決しながら、仲間が増えたり、キャラクターが成長していったりします。未練を残した道具たちが付喪神のようなファントムになって暴れたり、願いを叶えられなかった未練などがファントムになって一騒動したりします。

相手となるファントムが毎回しっかりと描かれていたので、ただ敵をやっつけるだけの話にはなりませんでした。ファントム側にも暴れたり騒動を起こしたりする理由があり、その理由に見ている側が共感できるため、最後にはちょっとホロッとなるような心地の良い感動が残ります。
しかし、その感動に至るまでの過程はポップでテンポの良い流れで、程良い笑いも織り交ぜられていました。非常にバランスの良い構成だったように感じます。

少し話は変わりますが、私は無彩限のファントム・ワールドのオープニング曲が、吐き気がするほど嫌いでした(ディスりすぎ)。軽くてヌルくてチャラい感じが凄く苦手でした。
更に、やたらとおっぱいを強調してくる(主に舞先輩)演出もあまり好きではありません(舞先輩は好きでしたよ!)。
シリアス系を好む私にとっては、ストーリーも少しポップすぎました。

それでも最後までキッチリと見てしまった理由は、ファントムの事情をしっかりと描いていたからだと思います。
私は敵がしっかりと描かれている物語は大好きです。逆に、相手を悪と決めつけてやっつけるだけの物語は苦手です。そういう意味で、無彩限のファントム・ワールドは苦手要素が多いながらも、最後まで楽しむことができました。

もうひとつ好感が持てたのは、キャラクターの深層心理を、ファントムという常識を超えた存在を使って視覚的に表現していたことです。それぞれのキャラクターの心の中に入っていくような描写もあって、目に見えない感情を、目に見えるファントムで表現していたことが画期的でした。

最後にキャラクターの話をすると、誰が何と言おうと小糸ちゃんが一番だったと思います。クールで人との関わりをあまり持たないのに、いつの間にか晴彦たちのグループに溶け込んでなんやかんやと世話を焼いちゃう小糸ちゃんが一番だったと思います!

水無瀬小糸

しかし、小糸ちゃんがあまり活躍しない!もっと我らが小糸ちゃんを活躍させるべきだと思う!

感想(ネタバレあり)

ここから先は、物語の核心に触れる記述があります。まだこのアニメを見ていない方はご注意ください。


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毎話心地の良い感動をもたらすのですが、最終話は特にやられました。親子モノには滅法弱い私は、最終話の母息子のエピソードにかなりやられてしまいました。

母が息子のことを強く思っていながら、息子に一人暮らしをさせ、会いに行かないのはあまり納得いっていません。「合わせる顔がない」と母は言っていましたが、最後の母の涙を見る限り、そんなショッパイ理由で息子に会いに行かないというのはちょっと不自然な感じがしました。

まあまあ、それには目をつぶるとして、やはり親子モノというものは良いものです。
ずっと会っていなかった母が突然晴彦の前に現れ、晴彦はためらいながらも一歩を踏み出し、再び母子一緒に暮らし始めることになります。しかし実はその母には、人類とファントムを統べようとする凶悪なファントムが乗り移ってました。晴彦の持つ能力を奪うために、晴彦に近づいてきたのでした。そのファントムが出て行ったあと、晴彦の母は眠ってしまいます。

あれやこれやとあってそのファントムを倒すと、母は目を覚まします。目を覚ました母の前に晴彦が立っています。
そこでやっとふたりは本当の再会を果たします。空いてしまったふたりの間の時間と距離は、一言二言の会話であっという間に縮まります。このシーンは最高に感動的で、「いつも最後にはやってくれる京アニ」の期待通りの素晴らしさでした。

もうひとつ私が特に好きだったエピソードは、和泉玲奈(いずみれいな)のエピソードです。
厳しい両親のもとで暮らした玲奈は、明るくて楽しい幸せな家族を夢想します。そんな心の隙間を見透かしたように、ファントムが玲奈を不思議な世界へと連れて行きます。そこにはうさぎの姿をした、玲奈の理想とする両親がいて、玲奈を温かく迎い入れてくれます。しかも玲奈ちゃんウサミミ!!

和泉玲奈

これは心がぴょんぴょんする!!!
しかし、このままでは現実世界に戻ってこれなくなるかもしれないので、玲奈を助けようと晴彦や舞先輩も不思議な世界へと赴きます。が、残念な(ウサミミ!)結果に。

ウサミミ

あれやこれやとあったあと、玲奈は決断を迫られることになります。うさぎの両親と共にこの世界に留まるか、現実の両親のもとに戻るか。うさぎの両親は玲奈が理想とする家族。玲奈は最後まで迷いに迷いますが、現実に戻ってくることを決心します。
そしてずっと逃げてきた両親としっかり向き合い、話し合い、自分の主張を認めてもらい、玲奈はひとつ成長します。

現実に戻ってくるという勇気を持てたのは、晴彦たち仲間がいたからです。ひとりで現実の両親に立ち向かわなければならない状況だったならば、ふたつ返事でうさぎの両親とあっちの世界に旅立っていたことでしょう。両親と向き合うというのは、高校生くらいの子供たちが必ず通らなければならない道です。仲間の力を借りながら、逃げずにしっかりと立ち向かった玲奈ちゃんのエピソードはとても感動的でした。私は親子モノにも弱いのですが、友情モノにも滅法弱いのです!

さらにこのエピソードで好感が持てたのは、ファントム(うさぎの両親)が悪ではなかったことです。向こうの世界に残るか、現実世界に戻るかの選択を、玲奈自身に託しました。玲奈が理想の家族を夢見たから、うさぎの両親のファントムは存在できました。玲奈が夢の世界を受け入れずに現実世界と対峙したのならば、うさぎの両親のファントムの存在意義はなくなってしまいます。
それでもなお玲奈に選択を託し、玲奈の選択を尊重しました。

このように、ファントムをただの「敵」とせずに、「相手」として描いていることに好感が持てます。

特に好きなエピソードを選んで書きましたが、全体的にこういったものが多かったです。私としては全体的にもう少しシリアス気味だと最高でしたが、見やすさとという点で言えば非常によくできた構成でした。一話一話全く飽きさせないテンポの良さでした。
さらに注文を言うならば、小糸ちゃんをもっと活躍させてください!!小糸ちゃんが活躍するべきだと思います!!

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ぺんぎん

ぺんぎん の紹介

物語をこよなく愛する一般人。 物語ならば、映画、小説、アニメ、ゲーム、マンガなどなど、形態は問いません。ジャンルや作者に縛られない濫読派。
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