終物語

アニメ「終物語」




あらすじ(ネタバレなし)

化物語から続く、物語シリーズの「終物語」上巻と中巻の内容をアニメ化した作品。

第1部・そだちドリル・そだちロスト
私立直江津高校の3年生阿良々木暦(あららぎこよみ)は、最近転校してきた1年生の女の子・忍野扇(おしのおうぎ)と共に、ある教室に閉じ込められてしまう。その教室では時間は止まっており、どのドアも窓もビクともしなかった。そこで阿良々木暦は、二年前の忌まわしい事件と向き合うことになる。

第2部・しのぶメイル
相棒の吸血鬼・忍野忍(おしのしのぶ)とのペアリングが切れ、ほぼ人間に戻っていた阿良々木暦は、鎧武者に襲われる。その鎧武者は、忍野忍がかつて最強の吸血鬼・キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードとして暮らしていたときに作った、一人目の眷属だった。彼女の二人目の眷属である阿良々木暦は、その鎧武者と対峙することになる。

感想(ネタバレなし)

はーい!育たそ!!育たそいいよ!!
そだちドリルのメインヒロイン・老倉育(おいくらそだち)最高だよ!

プライドが高くて、トゲトゲしていて、それでいて親切にはしっかりと見返りを求める下衆な性格の育たそいいよ!!
私は基本的に人間臭いキャラクターが大好きで、物語シリーズには珍しい、人間臭いキャラクターの老倉育が大好きです。「人は自分で勝手に助かるだけ」とか言っちゃう人たちと違って、いたって普通の女子高生的行動原理です。だが面倒くさい!完全に面倒くさいタイプの女子高生!
犯人探しのための学級会を開いた挙句、「犯人が見つかるまでは誰も帰しません!」とか言っちゃうような、超面倒くさい人!

こんなテンションで育たそのお話をしていますが、お話自体は非常に陰気で後味が悪いです。人の汚い部分を真正面から描いちゃった感じの、後味の悪いお話となっています。誰も救われない。何も救わない。
言葉遊びやポップでアップテンポのギャグをふんだんに取り入れながら、ストーリーの核の部分では人の本質を抉るような、いわゆる西尾維新作品の真骨頂とも言えるような内容です。私は物語シリーズの、この最後の最後の大事な部分がドロドロしている感じが好きなので、気持よく(?)楽しめました。
育たそ最高だし!

終物語の中巻に当たる「しのぶメイル」は、終盤近くまでは退屈に感じました。それでも、やっぱり最後の最後の部分は心が抉られました。どんなにシリアスな場面でも、しっかりとしょうもないギャグを挟んでくるいつもの感じも、なかなか良かったです。序盤から中盤がもうちょっと面白かったらなーとは思います。

なにはともあれ育たそですよ!
パジャマ育たそありますし!ロリ育たそありますし!育たそ!育たそ!!

感想(ネタバレあり)

ここから先は、物語の核心に触れる記述があります。まだこのアニメを見ていない方はご注意ください。


スポンサーリンク
















羽川翼の「おっぱいを触らせてあげる。」のセリフはメチャクチャ笑いました。

私はこの羽川翼VS忍野扇のバトルのシーンが凄く好きです。物語シリーズの中のバトルの中でも一番好きだと思います。手も足も出さない完全な口喧嘩ですが、その口喧嘩のレベルが高すぎて本当にハラハラしました。ヌルヌル動くバトルシーンでなくとも、最高にクールなバトルは描けるのだ!
手も足も出さないので冷静な喧嘩にも見えるのですが、その話の内容が誹謗中傷では無いのにも関わらず、攻撃力の高い言い回しを選ぶことによってグサグサと攻めていきます。そのグサグサをお互いサラリとかわしながら、次なる話を如何に有利に持っていくかの頭脳戦を仕掛けていく。

そんな緊迫した高レベルバトルの幕引きが、羽川翼の「約束するわ、阿良々木くん。私と一緒に行ってくれれば、おっぱいを触らせてあげる。」だぜ?これはもう盛大にズッコケるしかありませんですよ。今回の終物語のアニメの中で、一番笑ったシーンだったと思います。

さて、お話の内容ですが、老倉育のお話は本当に後味の悪いものでした。テストの勉強会に参加した人と、参加しなかった人で、平均点に大きな差が開いてしまった。これは誰かが問題漏洩をした可能性があるということで、育たそ主導のもと(というより、育たその暴走のもと)犯人探しをすることになります。
しかし、収拾のつかなくなった学級会は、多数決で犯人を決めるという、とんでもない流れになっていきます。そしてそこで、老倉育が犯人ということになってしまう。
彼女が犯人でないことは、クラスの誰もが分かっていたはずです。そもそも彼女が犯人ならば、彼女の暴走で学級会を開くなんてことがあるはずなどないのですから。示し合わせたわけではないのに、クラス全体が老倉育を犯人に仕立て上げ、この不毛な学級会を終わらせようとした。クラスの人たちの気持ちも分かってしまうが故に、非常に後味の悪い話となりました。

しかも、後味の悪さは更に続きます。犯人は、担任の教師だったのです。テストを作った側の人間だったのです。勉強会でテストの問題が漏洩したのではなく、勉強会で学習された内容を知った担任教師が、その内容に添った問題を作ったのです。そして何よりも、その教師も「老倉育が犯人」に一票を投じていた。
いや、これはさすがに教師失格以前に人間失格だろ。これはダメだよ先生。最悪だよ。育たそがかわいそうだよ!!!

しかも、後味の悪さは更に更に続くのです。親から暴力を受けていた小さいころの老倉育。親が警察官だった阿良々木家に一時保護され、自ら暴力親の元へと戻っていった老倉育。阿良々木暦にSOSのシグナルを送るために、「数学の楽しさを教える」という餌で釣る、中学生の老倉育。「見返りはいらない」と言いながら、しっかりと見返りを求めていました。育たそがもっと素直に助けを求めていれば変わっていたのでしょうが、まあそれは無理というものでしょう。

それにしても阿良々木暦、これだけ育たそと何度も会っていながら、その全てを初対面だと思っていたなんで、いくらなんでも失礼だろ。忘れすぎだよ。育たそを何度も忘れるなんて信じられないよ!!まったくまったく!!

育たそも育たそで、この物語の結末はあまりにキチガイすぎると思います。母親の死を認識せずに世話を続け、白骨化していく母親を見て、「母はある日いなくなった。」って認識するとか、ちょっと病みすぎだと思います。
昔のドラマで「世紀末の詩」というドラマがあったのですが、そのエピソードのひとつに、「愛する者が死んだ時、後を追って死ぬのも、自殺せずに生き続けるのも愛ではない。愛とは、相手の死を認識しないことだ。」とかいう内容のものがあって、「わあ!これは頭がおかしい!」って思ったものですが、育たそもその類ということになりますね。母親を愛していたわけではないので、それ以上に頭おかしいとも言えます。

そんな後味の悪い話のあとは、悲しいラブストーリーでしたね。
一人目の眷属VS二人目の眷属。忍野忍にしてみれば、元カレVS現カレ。忍は「そういうことではない。」と、散々否定していましたが、そいうことではないわけはないでしょう。何百年生きてきたのだとしても、やはり人である以上(いや、吸血鬼だな)、繋がりや愛を無視できるわけがありません。増しては、忍の前で、忍を恨みながら自殺していった人との再会となったのですから。

っていうか、傷物語が語られる前にこの話をしても大丈夫だったのだろうか。吸血鬼ハンターの「エピソード」っていうキャラクターがシレっと登場していたけれども、これって傷物語で出てくるキャラクターですよね。エピソードとドラマツルギーと、えっともう一人誰だったか・・・。ああ、ギロチンカッターね!(←今ググった)
ああ、そうか。でも初代眷属のお話は、暗闇の話の時に出てきてるから大丈夫なのか。そうかそうか納得。

で、この「しのぶメイル」のお話は、終盤までは退屈でした。私の大好きな神原駿河のギャグが絶好調だったので見ていられましたが、ストーリーとしては退屈でした。神原駿河のエロギリギリアウトギャグが連発されていたので大丈夫でしたが。爽やかエロ良いですね。下ネタを下ネタと感じさせない爽やかさ!だが完全に下ネタ!
熟女系のエロ本買って、臥煙伊豆湖さんにドン引きされるあたりのエピソードは結構笑いました。退屈退屈言っておきながら、結構笑ってます。はい、本当は楽しかったです。

まあ、そんなことはよいのです。忍野忍が神原駿河にマウントポジションをとっているシーンからは、本当に良かったです。この忍野忍VS神原駿河のバトルシーンも大好きです。ヌルヌル動くバトルシーンでなくとも、最高にクールなバトルは描けるのだ!
特に、神原駿河の「君は人に好かれて、そのうえ、いいやつでいたいのか。愛されたままで終わりたいのか。」のセリフはシビレました。神原駿河は、普段あんなにふざけているのに、芯の部分には強いものを持っています。絶対に譲らない部分を持っています。一人目の眷属に会うことを拒む忍に、頑として「会うべきだ」と押し通した神原駿河が、立て続けに言い放った先ほどのセリフ。これは心にガツンときました。

そして忍は最後の最後に会いに来ます。「会えて嬉しかった。」と泣きながら。「想いに答えられない。」と告げながら。

だからこれは悲しいラブストーリー。ストーリーのほとんどが、阿良々木暦と神原駿河、そして一人目の眷属のシーンでありながら、主役はやっぱり忍だったのです。
それにしても、その一人目の眷属を食べてしまうことで気持ちを表現する忍野忍は、やっぱり吸血鬼でしたね。

最後に、私は井上麻里奈を、「ちょっとトボけた演技」をする人だとずっと思っていました。(九割方みなみけの南夏奈の影響)
ですが、老倉育の役では凄い迫力でした。驚きました。
特に第5話。老倉育が過去の自分を告白するシーン。正に井上麻里奈の独壇場でした。圧巻の演技でした。これからも注目していきたいと思いました。
ああ!育たそ!!育たそ!!

スポンサーリンク




ぺんぎん

ぺんぎん の紹介

物語をこよなく愛する一般人。 物語ならば、映画、小説、アニメ、ゲーム、マンガなどなど、形態は問いません。ジャンルや作者に縛られない濫読派。
カテゴリー: アニメ パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

この記事と同じカテゴリの最新記事