まほろ駅前多田便利軒

映画「まほろ駅前多田便利軒」 大森立嗣




あらすじ(ネタバレなし)

東京の端っこ、ほぼ神奈川に位置する、都会とも言えず、かといって田舎とも言えない街「まほろ」で、便利屋を営む主人公・多田啓介と、そこに転がり込んだ元同級生・行天春彦の物語。便利屋という仕事をしながら出会う様々な人たちとの物語を通して、ふたりのつながりを描いていく。

感想(ネタバレなし)

あらすじではふたりの「つながり」と表現しましたが、この単語はイマイチしっくりきません。「絆」だと大げさですし、「友情」でも大げさですし、「人間模様」というほど大それたものでもありません。かといって「知り合い」や「元同級生」だけでは表せない、微妙な、でもしっかりと結ばれた感情。それで、迷いに迷って「つながり」としました。自分の語彙の少なさにウンザリします。
エンドロールに「原作・三浦しをん」の文字を見て、「ああ」と納得しました。三浦しをんさんは、「きみはポラリス」を読んだときに、微妙な距離感の表現がいいなと思っていたので。
でも、きみはポラリスが良かったせいもあるかもしれませんが、「まほろ駅前多田便利軒」(映画)はちょっと物足りなかったです。
便利屋の仕事もちょっと行き過ぎかなって思うところもあったし、演出がちょっとクサすぎっていう感じもしました。もっと自然な感じでも良かったんじゃないかと思います。主要キャラの「つながり」の微妙さを鑑みても。

感想(ネタバレあり)

ここから先は、物語の核心に触れる記述があります。まだこの映画を見ていない方はご注意ください。


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わりとゆるい感じを期待して見ていたので、少しついて行けない感がありました。まず、多田と行天の過去がちょっと重かったです。序盤で多田が自分の子供のことをボカしていたので、何かあるんだろうなとは思ってたんですが、自分の子か、妻の浮気相手の子か分からない上に死んでしまっていたなんて、ちょっと重すぎます。やや間のある、のそーっとしたストーリーの流れから突然そんな話を持ってこられて、キョトーンっとしてしまいました。
にも関わらず、ぶっ飛んだ行天のキャラクターに普通について行けていた自分が謎です。あのキャラクターは「まほろ駅前多田便利軒」の最大の魅力だと思います。演じた松田龍平さんもとても良かったです。一般的とは言えない価値観を持っていて、その価値観に当てはまるものであれば、社会的倫理観や、時には自分自身をも犠牲にして行動に移せる。それでいて自分は特別なことをやっている自覚がない。もしかしたら、自覚がないフリをしていたのかもしれませんが。
彼の価値観は概ね共感できましたし、あの行動力は羨ましくもありました。いや、実際に知り合いにあんな人がいたら嫌ですけど。

謎だったのは、終盤で多田が行天に「出て行ってくれ」って言ったシーンでした。始めから、多田は我がままでジコチューだと思っていましたが、このシーンはあまりにも自己中心的に映りました。行天がさんざん面倒や危険を持ち込んできた時ではなく、自分の子供と妻のことを告白し、自分が苛まれていることを吐露したあとに「朝になったら出て行ってくれ。」はあんまりだろうと。
そのあと行天が帰ってくることを期待しちゃったり、帰ってきたら喜んでまた住まわせちゃったり。ツンデレにしては度が過ぎていたと思います。

尚、私の「まほろ駅前多田便利軒」での一番のお気に入りのシーンは、行天を演じる松田龍平の隣で多田が「なんじゃこりゃぁあ!!!」って叫ぶシーンです。あれは渾身のギャグだと思いました。最高に笑いました。全然関係ありませんが、映画「ブラック・レイン」のときの松田優作は最高です。

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ぺんぎん

ぺんぎん の紹介

物語をこよなく愛するフリーライター。 物語ならば、映画、小説、アニメ、ゲーム、マンガなどなど、形態は問いません。ジャンルや作者に縛られない乱読派。
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