ブラック・スキャンダル

映画「ブラック・スキャンダル」 スコット・クーパー

あらすじ(ネタバレなし)

マサチューセッツ州のボストン南部で暗躍した犯罪組織のリーダー・ジェームズ・ジョセフ・バルジャー(ホワイティ・バルジャー)と、バルジャーからマフィアの情報を提供されていたFBI捜査官・ジョン・コノリーを中心とした犯罪映画。イタリア系マフィアを排除するという利害の一致から、コノリーはバルジャーから情報を提供してもらい、バルジャーはFBIの追求を逃れる。事実に基づくお話。

感想(ネタバレなし)

ジョニー・デップの偉大さを、改めて確認できる映画でした。

ゴッドファーザーでのマーロン・ブランドや、スカーフェイスでのアル・パチーノ、アンタッチャブルでのビリー・ドラゴは、私の中での「ベストオブ悪党」なのですが、今回、ブラック・スキャンダルのジョニー・デップというのが新たに仲間入りしました。このジョニー・デップ、とにかく怖い!!大きい声を出したり、手当たり次第暴力を振るったりするわけではないのですが、冷静さの中にあるクレバーな暴力が怖かったです。

一時的な感情や突発的な理由で人を殺すのではなく、冷静な分析と確たる理由の元に人を殺すのです。これが怖い。本当に「ひいぃっ!!!」ってなるほど怖かった!しかもやる時は徹底的に。
ということで、暴力シーンもあれば人殺しのシーンもあるので、安定のR指定です。

ストーリーとしては、よくある社会派犯罪ものかなと思いました。犯罪組織と警察(今回はFBI捜査官)がグルになって悪いことしちゃう系の。これが実際にあったお話だというのが凄いですが、映画としては新しさに欠けるかなと思います。ストーリーの構成はよく練られていて、やや複雑なお話であり、登場人物も多いのですが、分かりやすくストレスもありませんでした。暴力シーンも、逃げずにしっかりと血生臭さを描けていたと思います。

全体の私の評価としては、新しさに欠けるが、緊迫感のあるストーリー展開を楽しめたというところでしょうか。それに、ジョニー・デップ凄すぎ!が加わって、満足のいくものだったと思います。いや、本当にジョニー・デップの怖さがハンパないので、是非ご確認を!

感想(ネタバレあり)

ここから先は、物語の核心に触れる記述があります。まだこの映画を見ていない方はご注意ください。


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こういった社会派クライムサスペンス的な映画は、「男同士の絆」みたいのが描かれることが多いのですが、ブラック・スキャンダルではその辺りの描写は微妙でした。バルジャーとコノリーは子供の時の知り合いだったようですが、映画を見る限りでは、「絆」というよりは「利用価値」として描かれていたように感じました。お互いに利用価値があるから協定を結んでいた位の繋がりに感じました。
バルジャーの兄は上院議員なのですが、この兄弟の間には絆を感じました。犯罪組織でリーダーやってる弟と、政治家の兄って凄い兄弟だと思いますが、当時はこんなことも許されたのでしょうか。今ならあっという間に追求されて、政治家なんてできない気がしますが。映画の最後では追求されて政治家も辞め、その後の仕事も辞めることになるようですが・・・。
ともあれ、バルジャーの母親が死んだ時の兄弟の様子を見ても、最後バルジャーが雲隠れする直前に兄に電話した様子を見ても、兄弟の強い絆を感じました。

こういった男同士の友情的なものは私の大好物ですので、ついつい求めてしまうのですが、ブラック・スキャンダルの見どころは何と言ってもジョニー・デップの暴力シーンでしょう。冷静な表情で暴力を振るい、当然なような顔をして人を殺す。最近の映画は暴力シーンをソフトに描こうとするものが多いですが、よく逃げずにハードに描いたと思います。

私は好んで暴力的なものを見るわけではないのですが、表現上必要な暴力シーンを、自主的に(または外部の圧力によって)ソフトにしてしまっているのを見るとガッカリします。特にブラック・スキャンダルでは、バルジャーの残虐さを描くことは非常に大事でしたから、ハードに撮れていたことを嬉しく思います。
序盤の方で、バルジャーに楯突いた部下を殺すシーンから凄かったです。この部下は後で「あの時は悪かった。どうかしていた。」と謝ります。バルジャーは「酒には気をつけろ。うっかり口を滑らして余計なことになる。」と忠告して握手までするのですが、その場で後ろから頭を撃ち抜いて殺してしまいます。このシーン、ビクゥッってなりました。映画館でビクゥッってなりました。

私はこの時点で、序盤にも関わらず既にトイレに行きたくて行きたくて仕方なくて我慢してので、非常に危なかったです。まさかあそこで撃ち殺してしまうとは思わなかったので、大変驚きました。なお、ストーリーが込み入っていたので一瞬たりともスクリーンから目が離せず、最後の最後までトイレを我慢しました。始まる前に必ずトイレには行っておきましょう。
全然関係ない話をしましたが、このシーンでバルジャーがどういった人物か決定づけられたと思いました。常に冷静に見えるが、頭の中はイッちゃってるヤバいやつ。しかも裏切り者には厳しく容赦がない。

しかしバルジャーが最も恐ろしく描かれていたと思ったのは、暴力シーンでも殺しのシーンでもありませんでした。
FBI捜査官のコノリーの自宅でにバルジャーを招いて、ホームパーティーのようなものをやるのですが、コノリーの妻はバルジャーを嫌悪して、「具合が悪い」という口実の元、部屋にこもってしまいます。バルジャーは「心配だから様子を見てくる」という口実の元、コノリーの妻を脅しに行きます。この脅しのシーンが凄かった。
「おまえは亭主に恥をかかせている。」と忠告したうえで、ただ顔に触れて「熱はないようだ」と言って、首に触れて「腫れてもいない」と言うだけなのですが、その怖さと言ったら凄かったです。「おまえの嘘はバレている」「いつでも殺せる」ということを、言葉に出さずに伝える頭のキレ具合(2つの意味で)が怖かったです。

話は変わりますが、コノリーは本当に憎たらしいキャラクターでしたね!
なんとかかんとか理論を組み立てて、絶対に自分の過ちを認めないところとか、結果を出したら「ほら!!見やがれ!!!」っていう態度を取るところとか、傲慢チキでムカつくやつでした。詭弁に詭弁を重ね周りを煙に巻いてしまうずる賢さ。だから、バルジャーを本気で潰しにかかる新任検事のワイシャックに「なぜバルジャーを逮捕しない!」と一蹴された時は、大変せいせいしました。コノリーのようなワルな捜査官もいれば、正義感を持って仕事に取り組む偉い人もいるものです(しんみり)。

映画全体として、大変痛々しかったと思います。これは褒め言葉です。暴力をちゃんと痛いものとして描けていたと思います。
それに怖かったです。これはジョニー・デップの功績が大きいのですが。
つまりアレです。ジョニー・デップは偉大だってことだと思います。

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ぺんぎん

ぺんぎん の紹介

物語をこよなく愛するフリーライター。 物語ならば、映画、小説、アニメ、ゲーム、マンガなどなど、形態は問いません。ジャンルや作者に縛られない乱読派。
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