アリスと蔵六

アニメ「アリスと蔵六」




あらすじ(ネタバレなし)

紗名(さな)という名の少女が研究所から逃げ出す。彼女は、「アリスの夢」と呼ばれる、超能力を使う少女だった。その、紗名を追う者たちの中にも超能力者はいたが、同じように超能力を使う第三者の助けを借りて、紗名は逃走を成功させる。更なる逃走の中で、紗名は樫村蔵六(かしむらぞうろく)という名の老人と出会う。昔気質で曲がったことが大嫌いな頑固な蔵六と出会い、紗名は大きく変わっていくこととなる。

感想(ネタバレなし)

現代を舞台にしたおとぎ話。

あらすじを読んだ感じでは完全に超能力バトル系アニメですが、アリスと蔵六において「バトル」という要素は重要ではありません。
序盤にはアクションシーンも満載ですが、全体的にはおとぎ話のような「優しさ」に溢れています。

設定としてはよくある設定ですね。特殊な能力を持つ人間が研究所で過酷な実験を強いられ、そこから逃れるために命をかけて逃走する。悪い組織の人たちが追ってきて、激しいバトルを繰り広げる。
直前にレビューを書いた「GRANBLUE FANTASY The Animation」の設定もそうでしたし(GRANBLUE FANTASY The Animationのレビューはこちら)、「極黒のブリュンヒルデ」なんかも似たような設定でした。

アリスと蔵六には、冒険活劇もありませんし、過酷な運命もありませんし、シリアスなテーマもありません。あえてテーマを挙げるとするならば、「家族愛」です。
ストーリーは優しいですし、絵はピンクや青や黄色の可愛いタッチですし、「おとぎ話」と表現するのが最も適切だと思います。
タイトルからもわかる通り、「ふしぎの国のアリス」の要素が入っていて、そんなところからも「おとぎ話」ということを理解してもらえるんじゃないかと思います。

ですので、ストーリーには切迫したようなシリアスさはありません。
ですが、単調なストーリーというわけでもありません。むしろ、「超能力」という要素が入っているので、先を読みにくいストーリーでした。
ですが、シリアスさはないので安心して見ていられる物語です。まさに「おとぎ話」です。

安心して見られるストーリーなのですが、展開のテンポが良く、非常に凝縮されていました。1クール12話のお話だったのですが、「2クールだったんじゃないの?」と思えるくらい内容は満載でした。
ですが、「テンポが速すぎてついていけない」ということも全くありませんでした。バランスの良い、素晴らしい作りだったと思います。

不満を挙げるとすれば、出てくるキャラクターたちがみんな優しすぎるということです。特に大人たちが優しい。
「世界がこんなにも優しさに溢れていたらどんなに良いだろう」と思えるほどの優しさです。
心の優しい人たちが登場しすぎて、私の心が荒んでしまっているんではないかとさえ思われました。

以前に何度も書いていますが、私は家族モノには大変弱いです。今回も滅法やられました。泣いてしまうから、あんまり家族愛をグイグイ押してこないでください。泣いてしまうから!

ストーリー設定としてはよくある設定ですし、凸凹コンビというのもよくあるキャラ設定です。ですが、自由奔放で傲慢な少女と昔気質の老人というコンビはなかなか新鮮でしたし、「おとぎ話」のような世界観も新鮮でした。
テンポもよく、内容もギュギュッと凝縮されていて全く飽きさせません。
シリアスなストーリーが大好きな私ですが、アリスと蔵六はとても楽しく見ることができました。

感想(ネタバレあり)

ここから先は、物語の核心に触れる記述があります。まだこのアニメを見ていない方はご注意ください。


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アリスと蔵六のデコボココンビが本当に良かったです。

蔵六と出会ったことで紗名は大きく成長しますが、特に終盤で自分のことを語る紗名には大きな成長が感じられました。
ストーリーがその部分まで進んで、初めて「アリスの夢」という超能力のことも、「ワンダーランド」という世界のことも明らかになってきました。
なので、終盤のことから書いていくことになりますが、このお話から感想を書いていこうと思います。

「アリスの夢」とは、ワンダーランドの世界をこの世界に出現させることでした。
この超能力は、ある日突然使えるようになります。使えるようになる人物も無作為なようです。使える能力は1人1つだけ。

そして、敷島羽鳥(しきしまはとり)という女の子が「他の人を命令に従わせることができる能力」を手に入れます。
羽鳥は、小学受験を失敗して以来、両親の仲が悪くなったことを気に病んでいました。
自分が失敗したから両親の仲が悪くなった。家族の不仲は自分のせいだ。そう思っていました。

ところが、ある日突然母親が優しくなり、両親が仲良く暮らすようになりました。
しかし、自分が超能力を使えることに気がつくと同時に、羽鳥は悟ってしまいました。両親の優しさは、自身が超能力で作り出した「嘘」だったと。

自分が家にいると両親は永遠に「嘘」を演じることになってしまう。そう思った羽鳥は家出を決意します。
そして紗名と出会います。

始めは衝突でした。羽鳥が紗名を怒らせ、紗名は羽鳥をこらしめるためにワンダーランドへと引きずり込みます。
ですが、そこで紗名の能力と羽鳥の能力が衝突してしまい。二人とも超能力が使えなくなってしまいました。

二人は外に出る手段を無くし、出口を探します。そんな中で紗名は自分のことを羽鳥に話します。

ワンダーランドは世界のことを知りたがっている。紗名はワンダーランドの一部で、外の世界を探知するための端末のようなもの。
紗名を通して知った外の世界のことをワンダーランドは学び、そしてワンダーランドの中を改変していく。

そもそもワンダーランドが何なのかということは作中では語られませんが、これはアリスと蔵六の世界観を知る上では重要な情報でした。

紗名はワンダーランドそのものなのだから、使える超能力も一つではなかった。ワンダーランドという世界が変化していくのだから、紗名の超能力の種類も、想像力の及ぶ限り無限大だったわけです。

紗名にとってはワンダーランドこそが生きていた場所で、人間の世界こそが異世界だったのです。
人間の世界に降り立った紗名はまっさらだった。そこに色を添えていったのが蔵六であり、蔵六の孫の樫村早苗(かしむらさなえ)であり、周りの大人たちでした。
それが良い人間たちで本当に良かったです。出会いによっては紗名は全く別の道を歩んだでしょう。
出会いは大事。一期一会です。

それにしても、世界最強の兵器になりうるし、世界を変えてしまうような力を持つ紗名を、普通の家族のもとで普通の生活をさせようなんていうのはちょっとありえない設定ですよね。
最終回では実際に世界は壊れかけましたし、政府の大物もアリスの存在をちゃんと把握していたようなシーンもありましたし、とても平和な生活を送らせてもらえるとは思えない。

「おとぎ話」なんで、そのへんは「細かいことは言うな」ってことなんでしょう。ですので、細かいことは言わないでおきましょう。

ここからはキャラクターの話を書きます。
私が一番好きだったキャラクターは、大塚芳忠が演じていた警察官の内藤竜(ないとうりゅう)というキャラクターです。
大塚芳忠大好きなんですよ。

内藤という警察官と蔵六は昔なじみらしく、ここのデコボココンビっぷりも好きでした。
内藤は表向きはルーズで適当なところもありますが、根は優しく、いろいろと考えて行動しているキャラクターです。「上司は責任だけ取っていれば良い」というようなスタンスも凄く好きです。

内藤が初めてアリスのもとを訪れた時、そこは紗名が超能力で出現させた豚で溢れていました。
蔵六は紗名に説教をしているし、紗名はワンワン泣いているし、そこは正にカオスでした。
そんな状況を見ての内藤の一言。

「よし!帰ろう!」

一緒にアリスのもとを訪れた一条雫(いちじょうしずく)が答えます。

「しっかりしてください内藤さん。仕事です。」

この一連のシーンは私のお気に入りです。紗名、アリス、内藤、雫さんの性格やキャラクターを一瞬で説明できる名シーンだと思っています。

ここで登場した一条雫さんですが、一条先輩と山田のり子(やまだのりこ)後輩のコンビも好きでした。山田のり子は天才ハッカーですが、一条先輩の元ストーカーです。
一条先輩のことが好きすぎて頭おかしいですし、それを軽くあしらう一条先輩とのデコボコっぷりが面白かったです。
一条先輩のメイド姿はたしかに素晴らしいので、山田後輩の気持ちはわからなくはない。(でもスーツ姿の一条先輩かっこいいと思います!!)

ストーリー前半の「研究所」に関することをほとんど書いていませんが、感想はこれくらいにしておこうと思います。研究所編は、ミリアム・C・タチバナというキャラクターが良かったですね。
彼女は死んでしまった夫の体の一部を出現させるという超能力の持ち主でした。
何でもありの能力を持つ紗名の力を使って、夫を蘇らせたかった。

彼女は「悪役」という役どころでしたが、ただ「悪いヤツ」として描くのではなく、しっかりとしたバックグラウンドを描いているところに共感が持てます。
「おとぎ話」ではありますが、ただの子供じみたお話ではなく、しっかりと作り込まているなと思いました。

原作の方は続いているようですし、これだけのお話であれば2期もあるでしょう。期待して続きを待とうと思います。

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ぺんぎん

ぺんぎん の紹介

物語をこよなく愛するフリーライター。 物語ならば、映画、小説、アニメ、ゲーム、マンガなどなど、形態は問いません。ジャンルや作者に縛られない乱読派。
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